リウマチ膠原病 論文抄読会

リウマチ膠原病に関する論文を読んでいきます。主に知識量up目的です。初学者ですので間違いがありましたらコメントで教えて頂けると有難いです。

Comparative effectiveness of first-line tumour necrosis factor inhibitor versus non-tumour necrosis factor inhibitor biologics and targeted synthetic agents in patients with rheumatoid arthritis: results from a large US registry study

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https://ard.bmj.com/content/annrheumdis/early/2020/07/20/annrheumdis-2020-217209.full.pdf


Background
:RAの治療ではこれまでの治療歴や病期に合わせたT to T治療が推奨されている。csDMARDsにグルココルチコイドを併用し、効果不十分であればbDMARDsやJAK阻害薬への変更や追加が考慮される。現在のガイドラインではcsDMARDsに続く治療法の選択について述べておらず、evidenceに基づくTNF阻害薬/非TNF阻害薬の選択の優先度についても述べていない。

Objective:TNF阻害薬、あるいは非TNF阻害薬で治療された患者のBaselineとoutcomeを比較検討すること。

Study design:2001/10/1-2018/1/31にUS healthcare registryに登録されている患者を前向きに観察した。18歳以上でCDAI>2.8、first lineでcsDMARDsを使用しており、観察期間中にTNF阻害薬or非TNF阻害薬を使用した患者を登録した。

主要なoutcomeはCDAIスコアであり、

(1)ベースラインで中~高疾患活動性をもつ患者の低疾患活動性(CDAIスコア≤10)の達成

(2)、ベースラインの疾患活動性が低い、中程度、または高い患者の間での寛解の達成(CDAIスコア≤2.8)

(3)CDAIの変化量(ベースラインCDAIスコアは2.8〜10.0なら≧2、ベースラインCDAIスコアが10.1〜22.0の場合は≥6、ベースラインCDAIスコアが> 22の場合は≥11)

の3つを評価した。

secondary outcomeはmDAS-28が含まれ、貧血(男性では13.2g / L未満、女性では11.5g / L未満と定義)も、RAによる炎症との関連があり、いくつかの治療によって悪化したため含まれた。

patients repoted outcome(PROs)にはPROには、HAQ-DI、EQ-5D score、睡眠障害アンケート(yes/no)、不安(yes/no)、朝のこわばり(存在および持続時間) と疲労(VAS 0〜100)が含まれた。

Results:Corrona RA Register内で、18歳以上の46 414人の患者をrecruitした。 そのうち、7476人の患者は適格な薬物療法で開始されており、bDMARD未経験およびtsDMARD未経験であった。 figure1の通りに患者を除外し、4816人の患者をenrollした。TNFiによる治療で開始されたn = 4186と非TNFiによる治療で開始されたn = 630が含まれた。

拡張期血圧、総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール、トリグリセリドなどはデータが10%以上欠けていたため除外し、傾向スコアを一致させたところ、2372人および593人の患者は、それぞれTNFi群は2372人、非TNFi群は593人となった。

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Baseline characteristics
:詳細はtable1に記載

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Outcomes:TNFi群、非TNFi群においてLDAの達成、寛解の達成(CDAIとmDAS28に従って定義)などにおいて、グループの間に統計的有意差は観察されなかった(figure2)。貧血患者の割合はマッチング前とマッチング後で有意差はなかったが、TNFiは、非TNFiと比較すると、貧血の粗発生率が低かった (p = 0.03)(figure3/table2)。CDAI、HAQ-DI、朝のこわばりや倦怠感といった項目に差はなかった(table2)。

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Conclusions:firstlineにTNF阻害薬を選択するか、非TNF阻害薬を選択するかで結果は大きく変わらなかった。患者背景に併せて選択すべきだろう。